インフルエンザ
インフルエンザは、高熱が出るだけでなく
合併症を起こすおそれもある病気です。
まずは正確な知識を身につけておきましょう。
インフルエンザウイルスによって起こる感染症で
日本では毎年冬から春にかけて
流行のピークを迎えます。
38℃以上の発熱、寒気、全身の関節痛といった症状が
突然発症するケースが多く、
鼻水、くしゃみ、咳といった
症状も見られることがあります。
流行が始まると短期間で多くの人に感染します。
気管支炎や肺炎といった合併症のほか、
けいれんや意識障害などの症状が見られる
「インフルエンザ脳症」を起こすこともあるため
注意が必要です。
インフルエンザウイルスには大きく分けて
A型、B型、C型の3つがあり、
A型は人や鳥、豚などの動物が感染し、
B型とC型は一般に人のみが感染します。
A型とB型に感染すると高熱などの全身の症状がでますが
C型は鼻水が増える程度で済む場合が多いようです。
A型とB型には更にそれぞれ複数の型があり
ウイルスは変異することもあるため
一度かかったり、予防接種を受けたりしても
免疫がない型には感染する可能性があります。
インフルエンザのワクチンは、
3つの株を混ぜて作られています。
どの株にするかは、
毎年WHO(世界保健機関)の流行予測をもとに
国立感染症研究所が決めています。
海外では、
B型の株をもう一種類追加したワクチンもあります。
年によって一概には言えませんが、
日本では一般的に
A型→B型→A型の順で流行する事が多いようです。
鳥インフルエンザとの関連性は?
鳥インフルエンザウイルスは、
鳥から鳥へと感染しますが
人から人へは感染しません。
しかし、現在アジアなので発生している
「高病原性鳥インフルエンザウイルス」は
鳥から人への感染が見られたケースがあり
これが人から人へと感染する型に変異する
可能性もあるので警戒されています。
インフルエンザの予防には
ワクチン接種がある程度効果的です。
子どもが集団生活をしている場合はもちろん、
それ以外でも
家族がウイルスを家の中に持ち込まないよう、
家族全員での接種をおすすめします。
祖父母に子どもの世話をお願いする事があるなら
祖父母にも接種しておいてもらいましょう。
ワクチンはインフルエンザにかからない事を
保証するものではありませんが
抗体ができている型にはかかりにくくなるため
予防効果があるとされています。
家族全員でワクチンを接種すれば
家庭内感染の防止につながると言う
メリットもあります。
子どもは2回接種を
インフルエンザのワクチンは、
原則として大人は1回、
子どもは2〜4週間間隔で2回接種します。
接種後、抗体ができるまでには約2週間かかるため、
早めの接種がおすすめです。
ワクチンの効果は3〜4ヶ月程度なので
接種は毎年受ける必要があります。
重度の卵アレルギーの場合は、
かかりつけ医に相談しましょう。
★手洗い・手の消毒
石鹸と流水での20秒程度の手洗いを習慣に。
外出先などでは、アルコール消毒の他
除菌成分を含むウェットティッシュも
ある程度有効です。
★うがい
子どもがまだうがいができない場合は
無理強いする必要はありません。
家の中にウイルスを持ち込まないよう
大人がうがいを徹底して。
★室内の加湿と換気
インフルエンザウイルスは乾燥を好み
湿度30%で最も増殖しやすいため
加湿器を置くなど湿度が下がらないよう配慮を。
適度に換気もしましょう。
★人混みを避ける
人の多い場所に外出を予定している場合も
子どもやおうちの方自身の体調に気を配り
疲れている時は避けましょう。
★十分な睡眠とバランスのとれた食生活
イベントが多い時期は、
生活リズムが不規則になりがち。
規則正しい生活で
ウイルスに負けない体づくりを心がけて。
発熱や鼻水・咳などの症状のみの場合は
慌てず通常の診療時間内に(夜間なら翌日に)
かかりつけ医を受診しましょう。
けいれん(特に手足の動きに左右差がある場合)
意識障害(意識がない・おかしな事を言う)が
見られる場合は、
インフルエンザ脳症のおそれがあるため、
救急車で病院へ。
始めは熱や鼻水・咳といった症状のみでも
急に脳症を起こすケースもあるため、
容態の変化はこまめにチェックしましょう。
小児救急電話相談 #8000
夜間や休日に、小児科医師・看護婦などに
症状に応じた対処法を相談できます。
(受付時間帯は都道府県ごとに異なるため、事前に厚生労働省のホームページなどで確認を)
子どもの救急ホームページ
気になる症状を選択すると
「救急車で病院に行く」
「自家用車で病院に行く」
「おうちで様子を見る」
といった対処法が表示されます。
受診の判断の目安にするとよいでしょう。
タミフルなどの抗ウイルス薬は、
発生から48時間以内に飲み始めれば
効果があるとされています。
薬が効いて熱が下がっても、
体内にウイルスが残っていることもあるので、
処方された薬は飲みきるようにしましょう。
熱があっても寒そうに震えていて、
手足が冷たい時は、体を温めましょう。
熱が上がりきると、
顔が赤くなり暑がる様子が見られるので
体を冷やして薄着にすると
つらさをやわらげる事ができます。
手足が冷たい
これから熱が上がることが予想されるので
厚着をさせて毛布で温める
●首、脇の下、ももの付け根を冷やす
熱を下げたい時は、
おでこに冷却シートを貼るよりも
太い血管が通っている
首、脇の下、ももの付け根を冷やす方が効果的
●室温を25〜27度にして薄着に
●水分をとらせる
発熱による脱水症状を防ぐには
水分と塩分・糖分を補うことが大切。
経口補水液を少量ずつ飲ませて
●入浴は控え、蒸しタオルで体を拭く
インフルエンザにかかってしまったら
他の人にうつさない配慮が必要です。
保育園・幼稚園では発症日を0日と数え
5日を経過し、
かつ解熱した後3日は出席停止となります。
抗ウイルス薬を使うと
比較的早く熱が下がる事が多いようですが
熱が下がっても体内にウイルスが残っていると
人にうつしてしまうおそれがあります。
通園していない場合も、
出席停止にあたる期間は外出を控えましょう。
咳エチケットは、
1〜2歳児にはまだ難しいかもしれませんが
3歳頃からは、
「咳が出る時は口を押さえる」といったことを
徐々に理解できるようになります。
その際は、手に直接ウイルスをつけないよう
ティッシュや上腕部で口を押さえるとよいことを
教えてあげましょう。
子どもに正しい方法を伝えていくためにも
家族全員で「咳エチケット」の基本を
もう一度見直してみて。
A
解熱剤の中には、インフルエンザなどの
ウイルス性疾患には使わない方がよい薬もあるため
飲ませる前には必ず医師・薬剤師に相談を。
大人用の解熱剤を少量にして子どもに飲ませるのは
絶対にやめましょう。
A
基本的には本人が食べられるものなら問題ありません
発熱時には塩分を含むもののほか、
糖分を補えるプリン、ゼリー、アイスなどを
食べさせてもよいでしょう。
喉が痛い時には、固いものは避けてください。
A
インフルエンザで異常行動を起こすケースは、
タミフルが発売される以前にも見られています。
タミフルを服用した・しないに関わらず、
発症してからの2日間くらいは
子どもを1人にしない事が大切です。