1〜3歳 体・心・言葉の発達
「子どもって、なぜ、そんなことをするの?と
不思議に思うことはありませんか?
めざましく発達する1〜3歳の子どもは、
自分の能力を確かめたり、
ものごとを探求したりするために、
大人が首をかしげるような
行動を見せることがあります。
発達のキホンを知って、子育て役立てましょう。
体を使って感じる経験が次の発達の土台になります
子どもの発達は階段のように、
一段ずつ順を追って訪れます。
能力を伸ばしてあげるには、
先取りよりも
「今、必要」な経験を応援してあげましょう。
発達の第1段階は感覚の発達です。
皮膚で感じる「触覚」、
「筋肉や動きを感じる(固有覚)」
「姿勢やバランスの感覚(平衡感覚)」を使って
自分の体を把握します。
目や耳の感覚も総合して、
身の回りを理解していきます。
第2段階は固有覚や平衡感覚をフルに使います。
動きに応じてバランスを保ち、
行動する能力を鍛えます。
この頃になると、生活習慣を身につけられるように。
第3段階はこれらを土台として自制心や集中力がつき
知的な学習が始められるようになります。
1〜3歳は、この第1〜2段階。
親子でいろいろな経験をして、
全身で感じることが大事なのです。
3歳頃まで「禁止」は少なく!
やりたがることを応援しよう
ただ泥遊びをしているように見えても、
泥の性質を感じとり、
自分の体をどう調節するかなど、
全身の感覚から情報を集めて、
脳で処理しています。
自分が興味を持ったことに心ゆくまで取り組んで
達成感を味わうと、自信と意欲が湧きます。
親にとっては都合の悪いイタズラに見えても、
発達上は大きな意味のある経験です。
更に親が認めてくれたなどの喜びを味わうと
脳にはドーパミンという物質が分泌され
知能に関わる神経回路が強化されます。
怒られると、
せっかく芽生えた興味や好奇心を
発揮できず意欲もしぼんでしまいます。
危険なことや他人の迷惑になること以外は
やりたいことを応援してあげたいもの。
買い物に連れて行くなら、
買う物をリストアップして手早く済ますなど、
怒らずに済む工夫をしましょう。
自分から、より高度なことに挑戦していきます
歩くことが上手になって
水平方向に移動できるようになると、
次は高いところによじ登る、飛び降りるなど
垂直方向の運動に挑戦します。
穴に指を入れる、狭い所をくぐるなど
いろいろな遊びを通して
自分の体のサイズや輪郭を
イメージできるようになっていきます。
体のイメージをしっかりもてるようになると
固有覚や平衡感覚や筋肉を働かせて
なめらかに動けるようになります。
ブランコや集団遊びでも
この体のイメージが使われます。
手指の発達は全身運動のように劇的ではありませんが、
意識して見ていると器用になっていくのがわかります。
親指以外の4本の指が同じ動きをする握り持ちから、
ピースサインを作るなど、
それぞれの指を操作できるようになります。
手指を使う遊びを楽しむと
より上手になるので、
のりや粘土、ビーズ通し、折り紙なども
親子遊びに加えましょう。
親への信頼感を土台に興味を広げていきます
心の発達は、
赤ちゃん時代から親密に世話をしてくれる人との
信頼関係(愛着)がベースになります。
守ってもらえるという安心感があれば、
親から離れて興味があるものに向かい
新しい経験をすることができます。
親との関係を築いたら次は、
年上のお兄(姉)ちゃんと、
やがて同年齢の友だちと関わり始めます。
年上の方が自分に合わせてくれるので、
関係を作りやすいです。
2歳頃までは「友だち」といっても
雰囲気を楽しむだけで、
遊びは自分が中心です。
友だちとイメージを共有して、
同じ遊びができるようになるのは3歳過ぎから。
3歳台は自分だけの世界から、
友だちや社会へと
関心が広がっていく節目の年齢になります。
思考力も芽生え、
「理由」に興味を持って
「なぜ?」と聞きたがります。
この頃には「迷惑だから、静かにね」と、
理由を話して言い聞かせると
少しずつ我慢ができるようになっていきます。
人に伝えたいという思いが言葉になります
初めての言葉が出るまでには、
赤ちゃん時代からの積み重ねがあります。
周囲の人に関心を持ち、
声の流れの中から「言葉としてのまとまり」を聞き分け
その意味を理解するようになります。
理解できる言葉が増えた頃、
発声に必要な唇や喉の発達も整い、
自分でマネをしてみます。
それから言葉が出るのです。
発達はもともと個人差があるものですが、
言葉の出方には周囲の人との関わりや、
豊かな言葉を聞く環境など多くの要素があるので
特に幅があります。
言葉の出方がゆっくりでも、
日常で話しかけられる言葉の意味が
理解できている様子があり、
表情や指さしなどで思いを
伝えようとしているなら心配しすぎないで。
自分の思いを受け止めてくれて
「伝えたいことが伝わる」嬉しさを味わうと
もっと話したい、
伝えたいという気持ちが育ちます。
やがて、理解できる言葉の中から、
発音しやすい言葉か出てきます。